生体触媒化学研究会

The Society of Biocatalysis Japan

会長就任のご挨拶

会長就任のご挨拶

慶應義塾大学薬学部の須貝 威でございます。前会長でいらっしゃった富山県立大学生物工学研究センターの伊藤伸哉先生からバトンタッチされました。

私は高校時代に、身体の中の生物学的事象の多くが化学の言葉で語られることに驚き、生活に役立てる応用面に興味を持って、農芸化学分野に進学しました。学部卒業論文にて、森謙治教授のご指導による「微生物を用いる有機合成(パン酵母を用いたケトンの不斉還元)」の研究に取り組み、1980年代を通じ日本化学会や日本農芸化学会など諸学会で勃興した、当該分野の研究セッションで、多くの先生方や同年代の学生の皆さんと討論する機会を得ました。

1988年には念願かなって、本分野のパイオニアのお一人、慶應義塾大学理工学部の太田博道先生の助手として採用され、本会の前身である「生体触媒を用いる有機合成の研究会」(関西および関東)に、ごく初期のころから参加させていただきました。産学にわたるエキスパートの皆様と交流し、お誘いを受け、ヨーロッパやアメリカ・アジアの国際学会でも勉強いたしました。その間、留学時代(1991~1992)はScripps研究所、C.-H. Wong教授のご指導で、酵素触媒を活用する糖質の合成に従事していました。

私は、本分野と関連学会・セッションに例外的なほど長きにわたり親しんでまいりました。初期に本分野を牽引された先生・先輩方の幾人か、また当時盛んだったトピックのいくつかは「ご卒業・遷移」され、若い頃からの同志たちも次々に新しいテーマや分野を開拓・発展されています。化学者から見るとブラックボックスに近かった、微生物酵素を用いた物質変換は、酵素の構造・機能の解明、新しい酵素触媒の創製という決定的な指導原理を得て奔流のように進んでいます。多くの他学・協会との交流もますます盛んになり、生体触媒化学シンポジウムのトピックや演題、演者のマインドも大きくシフトしてきたと感じております。

私自身は、大先達の先生方が懸命に模索した「基質分子の改変による選択性や反応性向上」に近いところを40年近く右往左往するばかりで反省の極みです。しかし、本会会長として、この会の原点の一つである「確固たる化学的基盤に基づいた触媒の評価と考察、有用物質の実用的生産」という視点を、副会長、幹事の諸先生のお力添えをいただきながら、少しでも次世代の皆さんに伝えてゆきたいと考えております。

2017年のシンポジウムは12月、前述した太田先生、そして九州工業大学の大内将吉先生のもと、長崎県立大学で開催予定です。お一人でも多くの皆様の、ご参加ご討論、発表をお願い申し上げます。

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